高血圧と利尿薬。腎疾患と高血圧。9

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アントン・ティトフ医学博士が、時間経過に伴う重要な生理学的変化について解説します。

高血圧と利尿薬。腎疾患と高血圧。9
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高血圧と腎疾患における利尿薬の作用メカニズム

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高血圧における利尿薬の作用機序

David Ellison医学博士は、医療専門家向けの基本的なポイントを明確にしています。本態性高血圧における利尿薬は、主に細胞外液量を減らす目的で使用されるわけではないと説明します。これは臨床医の間でよくある誤解だと指摘しています。確かに初期の生理的反応では、塩分と水分の排泄が起こります。

この過程で体液量は一時的に減少しますが、長期的な降圧効果の主なメカニズムは別にあります。

時間経過に伴う生理的変化

David Ellison医学博士は、利尿薬の作用の時間的変化について興味深い説明をしています。血圧は心拍出量×全身血管抵抗であると指摘します。初期段階では、利尿薬の使用により心拍出量がわずかに減少し、全身血管抵抗が上昇します。

それでも正味の効果として血圧は低下すると説明します。約2週間経つと、体内の体液量は正常に近づきます。同時に、全身血管抵抗が著しく低下します。1か月後には、患者の体液状態は通常正常化しますが、細動脈は拡張したままとなります。

体液量評価

Anton Titov医学博士とのインタビューでは、主要なモニタリング項目が強調されています。David Ellison医学博士は、本態性高血圧の治療において体液量評価が重要ではないと述べます。この文脈では、チアジド系利尿薬が有効な血管拡張薬として機能するためです。

ただし、利尿薬の既知の副作用として、カリウム値のモニタリングは依然として重要です。Ellison博士の説明は、心不全患者と比較して、高血圧患者では体重や体液状態の追跡が重視されない理由を明確にしています。

慢性腎臓病へのアプローチ

David Ellison医学博士は、腎機能障害患者における重要な区別を示しています。第4期のような重症慢性腎臓病患者ではアプローチが「大きく異なる」と述べています。これらの症例では、細胞外液量の過剰が主な懸念事項となります。

Ellison博士は、体液過剰の徴候を評価するための注意深い身体診察を推奨します。これには、浮腫、頸静脈怒張、肺ラ音の評価が含まれます。この患者集団では治療目標が根本的に異なります。

治療目標の相違

David Ellison医学博士は、患者の診断に基づく異なる治療目標を要約します。本態性高血圧では、利尿薬は主に全身性血管拡張を通じて血圧を低下させます。この血管拡張のメカニズムは部分的にしか解明されておらず、多因子性である可能性が高いです。

一方、高血圧を伴う慢性腎臓病患者では、利尿薬は細胞外液量を減少させることで作用します。Anton Titov医学博士は、この異なる治療経路の明確化を促します。両方のメカニズムは血圧を効果的に低下させますが、根本的に異なる生理学的アプローチを通じて行われます。

全文書き起こし

Anton Titov医学博士: 利尿薬を長期間使用する高血圧患者において、血圧値以外に何か基準はありますか?カリウム値も重要かもしれませんが?他に行うべき検査はありますか?

David Ellison医学博士: それは素晴らしい質問です。私が医学部生や研修医に教えるのは、高血圧―本態性高血圧―において利尿薬を使用する場合、ほとんどの場合、細胞外液量を減らす目的で使用しているのではないということです。したがって、患者にうっ血の徴候があるかどうかを考える必要は実際にはありません。なぜなら、それが薬剤を使用する理由ではないからです。

ですから、高血圧患者にチアジド系利尿薬を投与し、体重、体液状態、全身血管抵抗を測定します。まだ完全には理解されていない非常に興味深い現象があります。しかし、起こることは、最初に患者はより多くの塩分と水分を排泄します;尿中により多くの塩分と水分を排出します。それにより細胞外液量が減少します。

そして実際、全身血管抵抗が上昇する可能性があります。血圧=心拍出量×全身血管抵抗であることを思い出してください。ですから最初に起こることは、心拍出量が少し減少し、全身血管抵抗が少し上昇しますが、正味の効果として血圧は低下します。

しかし、数日~2週間の経過でそれは本当に変化します。そして血液量と細胞外液量は通常、正常に近づきます。完全に正常化することはありませんが、増加します。

血液量と細胞外液量および体重が増加する期間中、全身血管抵抗は低下します。ですから、チアジド系利尿薬を約1か月服用後には、通常、体内の体液状態はほぼ正常です。しかし代わりに、細動脈は拡張しています;全身血管抵抗が減少している状態です。

Anton Titov医学博士: 利尿薬がどのように全身血管抵抗の低下を引き起こすかは、依然として議論の余地があります。

David Ellison医学博士: まだ非常に混乱していると思います。おそらく多因子性でしょう。しかし、これが本態性高血圧の治療にチアジド系利尿薬を使用する際、体液量をそれほど考えない理由です。なぜなら、実際には血管拡張薬として使用しており、拡張薬として非常に効果的だからです。ですから、高血圧では体液量を実際には考えないのです。

さて、先に述べたように、これは慢性腎臓病、特に重症慢性腎臓病患者とは非常に異なる状況です。そして、細胞外液量過剰の徴候を探すことに疑問の余地はありません。

ですから、外来で慢性腎臓病第4期の患者で血圧が190/100 mmHgの場合、私は確かに注意深い身体診察を行い、体液過剰の徴候があるかどうかを確認します。そして多くの場合、それらの患者では実際に細胞外液量を減少させる必要があります。

したがって、その状況での利尿薬の使用目的は異なります。結局のところ、依然として血圧を下げますが、そこでは細胞外液量を減少させることで血圧を下げます。一方、本態性高血圧では、全身性血管拡張を引き起こすことで血圧を下げます。